登山中に起きるトラブルには、病気や体調不良なども含まれます。
登山では、地上とは温度や気圧が大きく異なる環境に身体を置くことになるため、思わぬ症状が出てしまうことがあるのです。
地上ではすぐに病院に行き、必要な治療を受けるとともに、処方された薬を服用することも容易ですが、登山中ではそうはいきません。
しっかりとした準備とともに、正しい知識による対処が必要になります。
もくじ
登山の大敵:高山病とは
高山病の原因と症状
身体は隅々まで血管がいきわたり、栄養や老廃物が運ばれていきます。その血液が運ぶもののひとつに酸素があります。呼吸によって取り込まれ、あらゆる生命活動の源となっています。
この酸素が不足した状態を低酸素状態といいますが、これが登山中に起きると高山病、あるいは高度障害と呼ばれます。
高山では空気が地上に比べて薄くなるため、比例して酸素濃度も薄くなります。地上と同じように呼吸し、運動していると、いつの間にか酸素不足に陥ってしまう危険性があるというわけです。
高度障害の代表的な症状は、頭痛、嘔吐、めまいです。これらの症状が出た場合、高度障害の可能性を考慮する必要があります。
高山病の予防と対策
高度障害の予防としては、急激な登高を避けることが重要です。体力に余裕があっても1日に登る高さを制限すれば、気圧の変化に身体がついていきやすくなるわけです。
しかしいったん症状が出てしまった場合、根本的な解決方法は下山することだけです。
もし症状を抱えたまま登山を続けた場合、症状が改善されることはまずありませんし、重篤な症状となって最悪は死に至る可能性だってあるのです。
改善の善後策として、高度を変えず休憩がてら身体をゆっくりと動かす方法があります。その際横になって休むことは、かえって症状を悪化させる恐れがあるため、避けたほうが良いとされています。
熱中症や日よけに注意!
熱中症は見極めが難しい
熱中症の多くは脱水症状によって引き起こされる体温の異常な上昇が原因です。
表面的な初期症状がめまいや頭痛、疲労感などであるため、自分が熱中症なのだと気が付かないことも多々あります。
予防対策は、やはり常に自分の身体に必要以上の熱がこもっていないかを意識することでしょう。登山中は動いているため熱がたまりやすい状態になっていますが、多くの登山者は汗をかかない程度に運動量をセーブするため、熱のこもり方も段階的になって気が付きにくいようです。
いったん熱中症になってしまったなら、日陰で休み、風通しを良くして身体を冷やすようにします。もちろん、意識障害や運動障害などの重篤な症状が出るようであれば、即時下山させます。
日焼け対策は意外と重要
男性のなかにはほとんど日焼け対策を取らない人もいるようですが、これは非常に危険です。
日焼けとは言ってしまえば軽度の火傷であり、放置すればどんどん重篤化していきます。特に高山では紫外線量が増加するため、この傾向は顕著なのです。
日焼けによっていつの間にか水ぶくれができ、皮がむけてしまうなんてことがないように、しっかりとした対策を取りましょう。
もしも日焼けが進行しているようであれば、通常の火傷処置と同様、患部をできる限り冷やし続けることが重要です。
低体温症にならないために
低体温症とは その原因と症状
人間の身体には、自分の体温を一定に保とうとする機能があります。
ところがその体温調整能力を超えるような要因が重なる寒冷状態においては、体温保持機能そのものが働かなくなることがあります。これがいわゆる低体温症とよばれるものです。
低体温症の初期段階では寒さに震える身体が、そのエネルギーさえ失われて停止状態となります。このころには幻覚症状などが起き、その後昏睡状態となって死に至ります。
低体温症の予防対策と対処法
低体温症の対策としては、濡れた状態のままでいることを避けることが重要です。
風雨は短時間で急激に体温を奪っていくため、気が付いたときには対処する体力そのものが失われているケースが多いのです。
また、汗によって湿気を帯びた衣類も同様に危険です。そもそも汗をかくような激しい動きは避けるべきなのですが、温度変化などでどうしても汗をかいた場合は、すみやかに湿気を逃がしてしまうことが重要です。
まとめ
登山において起きるトラブルには、高地特有のものがあります。起きる症状も単なる疲労と見分けがつかないものが多く、ついつい対処が後手に回ってしまうものです。
自分の体調に異変を感じた場合でも、周囲のメンバーに気を使ってしまい、言い出せないでいる間に状態が悪化するなんてケースもあるようです。
何かあってからでは遅いのですから、少しでも異変を感じたなら早めに対処することと、周囲の人間を常に気をかけ、おかしな様子を見かけたら積極的に声をかけるようにしましょう。
虫刺されなどのトラブル対策は、こちらの記事をお読み下さい。